平成18年3月22日
愛知県豊明市栄町上姥子3番地19
シャトー桜ヶ丘V-401
名古屋税理士会
総務省電子政府推進員中部地区委員
 井上 新
0562-92-8720
arata@iarata.com

「国税関係業務の業務・システム最適化計画(案)」における
利用者の利便性向上等に向けた取組に関する利用者意見

意見

・該当箇所
IT活用による納税者利便性の向上
・意見内容
 マーケットイン思想が欠落しています。納税者の視点がずれています。その答えが、96%の受け入れ態勢の構築完了に対する、1%にも満たない利用率です。5年間で3兆円を投入した電子政府構想の根本的な見直しをすべきです。この解決策は、インセンティブの付与につきます。
・理由
 わが国のインターネット環境が諸外国に比べ安価で使いやすい現状にあることは周知の事実であります。この件は、日本はインターネットの光と影についてまで、小学生が語れるほどに浸透した社会に成長したものと喜ばしく思います。 一方、「国の扱うほとんどの手続においてインターネットによる申請等が可能となっている。」と言うことではありますが、国民はこの事実を認識していません。さらに体感した者に至っては、ほんの少数であります。
 電子申告については、納税者の0.64%(平成17年12月8日現在、167,033件)の利用です。これは平成16年2月2日から2年近く経過した時点の累積値あり、納税者全体の1%にも及んでいません。当に、利用している者が珍しいと言う事態になってしまっています。
<参考>http://www.e-tax.nta.go.jp/topics/kensu.html


 これは、「国税e-TAXシステム」が使うに至らないもの、あるいは使ったところで何の得にもならないものであると国民に判断されてしまっていることに原因があります。 システム作成側は苦慮して作成し国民の利便性に寄与するものになるようにあらゆる配慮をして作成されたものだと信じますが、思想が根本的にプロダクトアウトになっています。「ここまでシステムを整備したのだから、これを使わせる。」と言う発想で電子申告推進をしているのが実態です。
 民間は今、どのような商品開発であってもマーケットイン思想で開発をしなければ、その商品は市場で受け入れられません。したがって、まず、電子申告・電子納税を普及するためには、発想をマーケットインに変えていくことが肝要です。市場において、納税者・利用者は、具体的に見える利便性を求めます。「自宅やオフィスにいながら申告ができる」「税務署や金融機関に行かなくてもいい」程度の利便性は、その事前準備のわずらわしさや、ハードルの高さに比較して全く説得力がありません。全く新しい制度の導入には、大きな目に見える、あるいははっきり体感できるものでなければ普及は難しいものです。この解決方法は唯一、インセンティブの付与です。


 インセンティブの付与についても複数の方法があると考えます。まずは1納税者のインセンティブ ・2税理士のインセンティブが考えられます。 (税理士へのインセンティブは別の意見で。)
 「納税者のインセンティブ」につきましては、いわゆる「電子申告控除」が考えられます。実際に電子申告をするにあたって、納税者にお願いすることはICカードの取得と、ICカードリーダライタ(以後ICCR/W)購入です。もちろん、スペックの低いPC所有者には最新のものに買い換えていただく費用を強いることになります。PCの購入費まで電子申告控除対象になれば、大変な普及が見込まれます。現在は10万円もあればPCの購入は可能ですが、この金額に見合う電子申告控除が実現すれば、増税傾向の税制改革の中で大きな目玉となると同時に、マスコミ等に大きく取り上げられて世の中の話題になり、国民の皆が意識するようになるもの確信します。数年間の措置でも有効と考えます。
 現実的な問題としては、少なくともICカードの取得費(住基カードの場合1000円+写真代)とICCR/Wの購入費(税理士会経由で非接触型が1万円)に、それらをそろえる手間ヒマ代(市町村によるが時間がかかる)を加味して、2万円。この程度の控除であっても、その普及度合いは飛躍的に伸びるものと思われます。
 納税者に電子申告への協力依頼をする場合、まず質問があるのは、「何のメリットがあるの?」ということです。メリットを即答できるほどに「見える化」しない限り、今後も納税者の説得には多大な労力は必要になります。
 したがって、「電子申告控除」を導入していただきたい。韓国の成功事例を参考にしてください。


・該当箇所
e-Taxの機能・運用の改善>第三者作成の添付書類のオンライン化
・意見内容
現実の電子申告現場は、添付書類の扱いがハードルになっていますので、オンライン化を早急に認めていただくと同時に、税理士関与の場合は添付書類そのものを「電子の場合につき税理士事務所保管」とすることで、電子申告の優位性が認められ、普及促進に拍車がかかります。
・理由
 一般納税者にとって、電子申告で送信した後、別便で添付書類を郵送することは、その手続きが大 きなハードルになります。郵送するのであれば、申告書も郵送すれば2度手間が省けるわけですから、わざわざハードルの高い電子申告を利用するはずもありません。  
 e文書法で電子保存が認められているのですから、そのデータをそのまま添付できるようにすれば、その利用率は向上します。ただし、紙をイメージデータ化するには、そこに技術的なハードルがかかりますので、ある程度PC操作に慣れた納税者に限られてくる可能性もあります。また、e文書法は公的個人認証を使っての電子署名ができないという、整合性のない部分もありますので、ここにも問題はあります。


 そこで、代理送信権を認めていただいている税理士を信頼いただき、添付書類については税理士経由の場合全部省略可能にしていただけることを希望しています。このような税理士のインセンティブについては、各税理士会より提言があるとおりであります。多くの様子見派税理士が本音の部分で電子申告に積極的になっていない大きな理由の一つに、この「添付書類の別送」があるからです。


 「添付資料の別送」については、税理士がその資格を担保にしてチェックしたものであれば、添付書類の郵送を義務付けることにどれだけの意味があるのか疑問であります。受側としてチェックする人員と時間が余分にかかるだけです。また、税理士のチェックを信頼していないことにもなります。
 さらに、税理士法33条の2の書面添付制度との併用も考えられます。税理士法33条の2の書面添付制度は、書面添付を行うことにより税理士の業務を信頼してその内容を認めていく制度であります。 そこで、この制度との併用で電子申告する場合は、添付書類を省略できると言う制度にすれば、両制度の申告割合の増加に寄与するものと確信します。ただし、この場合は、複雑な問題が包含されるため、電子申告の爆発的な伸び率には貢献できるとは思いません。


・該当箇所
e-Taxソフトのダウンロード方式による配付
・意見内容
ダウンロードによる配布そのものは賛成ですが、e-Taxソフトは所得税の簡便な還付申告(A様式のみに限定等)あるいは一般納税者の利用率の高いものに限定し、複雑性を要する税務カ会計ソフトは民間のソフトベンダーに任せるべきです。
・理由
 平成16年2月2日にe-TAXソフトを利用して以来、100件を超える電子申告・納税を経験させて いただきましたが、国税庁のe-TAXソフトで利用したものは、2.3件にとどまります。少なくとも、関与先の重要なデータを、国税庁のe−TAXソフトで申告しようとすると、通常業務の3倍以上の時間を要します。業務で使えるものではありません。


 また、今後、国税庁が税法改正当に伴いバージョンアップしていくことは、その開発コスト、維持管理コストも膨大になります。現実に私は、TKCのソフトで電子申告をしています。納税者が電子証明書を取得さえしてくれれば、後は通常の業務の中でシームレスに近い状態で電子申告まで完了します。TKC以外のソフトベンダーも大手は追随してくるものと思います。仮にそこにある程度のコスト負担が税理士事務所にかかるとしても、職業として考えればそのコスト負担で苦情を言う税理士には業を維持する資格がないとみなすべきでしょう。


 ともかく、国税庁e−TAXソフトは当初、バグが多くありました。2月2日に送信する前日に、定率減税の青天井計算や減価償却の全部償却してしまうソフトは、本当に苦労いたしました。民間であれば売り物にもならない。それをクリアしたとしても、ネット配信するには重過ぎる。当初のCDには行っていた容量は、98M程度でありました。確か3度目のバージョンアップは123Mほどあったと思われます。ADSL使用の当事務所でもいささか時間がかかります。ISDN回線の方が莫大な時間がかかったとぼやいていた事実もあります。したがって、全部のソフトを配信する必要性は何もないと考えます。


 現在、利用開始届けがWeb上で可能となり、大きな進歩でありますが、利用者識別番号と仮暗証番号がCD共に送られてくるのは、かなり時間を要します。今回の確定申告は35件ほど実践しましたが、この問題で間にあわない関与先も何件かありました。CDの配布とは切り離し、利用者識別番号と仮暗証番号をネット上で先にすぐに送り返さなければ、その利便性はいつまでたっても向上しません。関与先に配布いただいたソフトは全て封も切らずに保管していただいております。これも無駄だと思います。


 したがって、簡易なもの、一般納税者の利用件数が多い業務にソフトを限定しダウンロード配布をしていただくと同時に、利用者識別番号や仮暗証番号につきましては即日、メールで変身するようにしていただきたい。同時に、複雑な業務は税理士事務所を経由して、民間ソフトベンダーのソフトウエアで処理をして行くというルールに変更していただくことを希望いたします。


・該当箇所
一部電子署名の省略など利用拡大に向けて具体的に取り組み
・意見内容
税理士を信頼して納税者の電子申告は省略させていただきたい。
・理由
 「納税者の署名押印」につきましては、矛盾した問題があります。「紙と電子を同等に扱う。」と言う説明をことあるごとに各方面で伺うのですが、これは質問の回答に困った時のだけの説明になっています。実務上、署名は本人の自記筆でありますが、捺印は認印で通常行っています。電子署名をするということは本人を証明するものではありますが、同時に実印と印鑑証明書を添付することに匹敵します。その実印と印鑑証明書の添付を税理士だけでなく納税者、さらには法人の場合、経理責任者(これは省略可能であるが、今までの申告と同じ状態にする場合に必要)にまで義務付けているのが現状です。税理士が電子署名をすれば後は税理士と納税者における信頼関係の中で考えさせることとし、納税者及び経理責任者の電子署名は省略を認めるようにすべきであると考えます。


 これらの規定は要するに、国家が認定した資格業に対して、監督官庁が信用していないことになりかねません。昨今、国税庁では、確定申告時期の税務援助について、各税理士会にアウトソーシングする部分が増える傾向が顕著です。この発想と同様に、税理士を信頼しているのであれば、電子申告の代理送信において、税理士が行った書類のチェックを認めないのは矛盾といえます。税理士が代理送信をするのであれば、税理士が添付書類を保管することで何ら支障はなく、もしそこに相違があるのであれば、税理士の資格を担保にしていけばよいと考えます。


 また、署名押印についても、税理士のみが電子署名をすることが不安であれば、顧問契約書や業務請負契約書に類する書類を送信することに代えていくことで 解決できます。納税者が電子申告する場合はチェック機関が無いため、添付資料の別送はやむをえないことではありますが、税理士に業務を委託すれば、添付書類の郵送が必要ないということになれば、税理士としては大きなインセンティブになり、様子見派の税理士も積極的に推進派になっていただけるものと考えます。


・該当箇所
国税庁ホームページ(「確定申告書等作成コーナー」)の機能改善
・意見内容
国税庁のホームページ(以後HP)の完成度は高く、利用者にも評判がいいので、さらに利活用していただきたい。直接、HPから電子申告が可能になるようにすべきであります。
・理由
 現段階でも、このHPで作成したデータを切り出し、国税e-TAXシステムに組み込んで送信することは可能ですが、この手法を使うものは極まれだと思われます。特にPCに慣れてない者にとって、データの切り出し組み込み作業は非常に難解に思えるからです。


 実際、平成16年度の実績値で、このHPへのアクセス件数は1,023万件。このうち当システムからカラーでプリントアウトして郵送した納税者は445万人。今年度から、白黒印刷でも受付可能ということですから、軽く500万人以上の納税者になるものと思われます。この納税者がそのままWeb上で電子申告できれば、納税者にとっては具体的に体感できるシステムとなります。これが実現すれば、電子申告の普及率は飛躍的に伸びることは間違いありません。このシステム作りも納税者に対するインセンティブの付与の範疇に入るものと思います。

 セキュリティについては、このシステムの利用者の条件や範囲を限定していけば、IDとパスワードの管理で充分に対応できると思います。どうしても、セキュリティを問題にするのであれば、ICカード&リーダライタの取得を求めるのではなく、バイオメトリクスで可能なようにしていくべきです。当面は指紋認証でしょうか。最近は、USBフラッシュメモリーにもデータを守りために指紋認証システムがあります。低価格なバイオメトリクスの電子署名の読み込み装置を、CDROMも代わりに送るほうが、普及率は圧倒的に上昇します。


・該当箇所
国税の納付手段の多様化1
・意見内容
MPNとの連動が今だうまく機能しておらず、ATMの利用は地方では困難なままであるため、早急にこの制度を全国的に稼動させるべきである。また、郵便局窓口におけるMPNの連動も急ぐ必要がある。
・理由
 1) 中小企業基盤整備機構の選任講師として、「中小企業の会計」について、愛知県下および岐阜県の信用金庫を中心に講演をさせていただいています。その場合、ほとんどが代表責任者の方々とのお話し合いをさせていただく機会を得ますので、電子納税の話をいたします。ほとんどが、MPNの理解は一応されていますし、ネットバンクを稼動させていますが、ATMでの納税はできていません。納税者の利便性向上には、いま、コンビニが生活の一部である以上、全てのコンビニのATMで納税可能な状態にすべきであります。電子納税の利用率を向上させるためには、すべての金融機関が、電子納税MPNの理解をして、MPNボタンひとつでATMからの納入が可能な状態にして行く必要があります。


 2)税理士会支部執行部として常に所轄の税務署と打ち合わせをさせていただいております。署側からは電子納税の推進以来や納税の利用率向上についての要請が支部集会のたびにありますが、そもそも依頼する担当職員の理解が怪しい状態です。公務員は年末調整でご自分の税関係が完結してしまい、電子申告・納税を経験してない方が、電子納税の推進依頼をするのですから、無理があります。

 現に「ネットバンクが動いている関与先には是非電子納税のご指導を・・・」とおっしゃいます。今の電子納税手続きはそんな短絡的なものではありません。ネットバンクをする企業は中には、振込料が安いことが動機付けで導入しているところがあります。そんなところに、MPNの手続きを銀行と別途した上で、ICカードリーダライターを購入し、電子証明書を取得するという手続きと時間・費用を要求しなければならない。ほとんどがこの説明をすると「とりあえずノー」になります。このあたりの現実的な指導を明確化にしていただきたい。


 3)源泉イータ君も、電子納税の段なると簡易なフローチャートで説明しています。納税者にとっては払込みが完了するまでが一連の作業であります。国税の範囲外になる途中から簡易な説明になります。金融機関との連動が必要ない上、ここからは範囲外という説明は不親切であります。利用側が画面どおりに誘導されれば最後までたどり着けるように、知りたい部分を省略すべきではありません。 


・該当箇所
国税の納付手段の多様化2
・意見内容
納付書に電子署名は必要ないのではないでしょうか。
・理由
 電子納税で最大の問題は、納付に電子署名が必要だと言うことです。通常、紙で納付する場合は、金額を記入して 銀行に持ち込むだけの作業ですが、電子納税の場合、電子署名をしなければなりません。納付書に実印と印鑑証明に匹敵するものを添付するのです。再三あらゆる機会に改善のための諸提案をしても、「紙と電子は同じ扱いですから・・・」と言う理由で、「電子を特別扱いできない。」と説明を受け拒否されてまいりました。しかし、実際にはこの部分が電子納税において、紙の世界とは明らかに全く違う扱いをしています。紙で納付することに比較して、納税者に大きな負担をかけています。ネットバンク及びMPNで、IDやパスワードの確認をする作業に、さらに電子証明書を添付するという作業は、屋上屋を重ねるシステムであり、全く意味はありません。


 電子納税の有用性を主張するのであれば、ICカードリーダーライタ(以下ICCR/W)がネックになりますが、ICCR/Wが無くても電子納税が可能であれば、その利便性は高くなります。少なくとも、納付書については、紙の場合、納税者は金融機関に渡すだけの作業です。都会においては銀行が事業所を定期的に巡回したり、あるいは金融機関まで数分で移動できる環境にある場合、紙で渡したほうがはるかに簡単で、費用もかかりません。


 したがって、電子の場合は金融機関のID・パスワードのシステムを信頼し、電子証明書の添付をなくすべきです。納付書は税金の支払ですから、他人に成りすまして納付したり、金額を知ることで得をする者が存在する可能性も低いと思われます。


・該当箇所
早期還付によるインセンティブ措置
・意見内容
本来、電子申告による早期還付は最低限守るべきことで、インセンティブを感じるほどではありません。
・理由
 アメリカのアドビシステム社のアンケート調査によれば、「税還付処理の迅速化」が、電子申告の利用率向上に役立つことを発表しています。

http://www.adobe.co.jp/aboutadobe/pressroom/pressreleases/200504/20050415taxsurvey.html


 しかしながら、名古屋の税理士が全国に先駆けて経験した電子申告の結果は、電子申告をしたことにより、例年以上に還付処理が遅れたという事実であります。各担当署に確認したところ、「なにぶん初めてなので慎重を期するために、紙の処理が終わってから後で行った。」と言う回答を得ました。平成17年においてはそのような事例は減少したものの、積極的な電子申告の協力者が次の年から紙に戻して申告した現実があります。

 これもやはり、処理担当者レベルが電子政府構想の重要性意識を持ち合わせていなかったことによる事例と言えます。国・地方公共団体の窓口担当者に至るまでの、電子政府化構想の重要性の啓蒙と、この推進が公務員の人員削減のツールではないことを認識していただくことが肝要急務と言えます。


 確かに、早期還付はインセンティブに該当するものと思われますが、納税者は電子申告で送信すれば、民間のネット取引のイメージから、すぐにでも還付されると思い込んでいる傾向があります。納税者は早期に還付されてもそれをインセンティブとは理解せず、遅く還付されることは最大のデメリットと考えます。

 迅速な対応が求められます。


・該当箇所
確定申告期間における24時間受付
・意見内容
電子申告の送信手段としてインターネットを選択した以上、24時間365日稼動は宿命です。また、電子政府構想においてもその方向性にあると考えます。
・理由
 既に2年目から確定申告の受付時間を、確定申告時期に午後11時にまで延長してくださったことや、土日に受け付けていただけることはネット利用者には大変ありがたいことであります。

 しかしながら、インターネットである以上24時間受付が可能でなければ、その意味は半減いたします。そもそも、インターネット好きな者の生態は、夜行性であり、通常の時間帯には申告しません。また、めんどくさがりであるため、郵送との併用など考えたくもないものです。そして、気が短いので、スピードを求めますから、手続きに時間がかかるものは馴染みません。一方、インターネットに不慣れな者の生態は、慎重若しくは保守的な方が多いので、仕事から解放された土日に時間をかけてじっくりやる場合が多い。また、ITが根本的に嫌いな方は、機器にお金がかかる事は避けます。いずれにしても、現在のままでは、多くの方を取り入れる体制にはなっていません。


 参考までに、30〜40代男性の夜間ネット利用が大幅増加(Web広告研究会が研究結果公表)という記事を目にしました。“日本広告主協会Web広告研究会は、「ブロードバンド環境下における視聴行動変化」に関する研究結果を発表した。これによると、ピークとなる22時台のウェブ利用者が400万人を突破したほか、21時〜23時台のM2層(男性35〜49歳)の利用が増加し各時間帯で100万人を越えたという。また、全時間帯でブロードバンドからの利用者が90%を占めるようになった(2003年は21時台で約70%)、休日デイタイムのネット利用者は平日より100万人近く多い、としている。この調査は、ネットレイティングスによる2004年6月のインターネットの視聴率データをもとに、Web広告研究会が分析をおこなったもの。”


 また、“主婦は日中、独身女性は夜間と女性のネット利用は平日中心。女性がインターネットを一番利用する日は平日が86.4%で、既婚者は午前中〜夕方、未婚者は夜〜深夜に利用。ハー・ストーリィの調査から。インターネットを一番利用する日は平日が86.4%で、既婚者は9割、未婚者も7割近くが「平日」がトップ。利用時間帯は「夜」(47.1%)が1位だが、未婚者は「夜」から「深夜」が7割以上、既婚者は「午前中」から「夕方」までが5割以上という傾向にある。なお、2002年調査時と比較すると「午前中」から「夕方」の占める割合が36.2%から47.4%に増加、常時接続が普及し、電話料金の安い夜間に集中しがちだった利用が分散しつつあるといえるのではないか。“


 いずれにいたしましても、インターネットで電子申告をする以上24時間365日の稼動を目指すことで、電子申告の利用率は向上するものと考えます。


・該当箇所
公的個人認証など認証基盤の普及拡大にあわせ、e-Taxの利用促進を図る
・意見内容
公的個人認証があまりに普及がされておらず、納税者に取得を依頼しても取得する段階で大きな困難を生じる。したがって、公的個人認証の普及を地方公共団体に依頼すべきである。
・理由
 現在、電子申告が進まない最大の阻害要因が、国又は地方公共団体の窓口担当者にもあるという事実を認識することが必要であります。

 地方公共団体においては、「住民サービスに直結する地方公共団体の電子化が十分でない」と言う点の実態があります。もちろんシステム的に各地方公共団体がその利権構造のためにそれぞれのベンダーと組んでソフト開発をしていまい、レガシーシステムの活用に頭を悩ませなければいけないこと自体も問題ではあります。しかし、システム的な問題以上に担当職員の電子化に対する意識の問題が阻害要因になっています。


 たとえば、納税者にICカードの取得をお願いした場合に、もっとも苦情が多いのは、「役所の窓口で大変待たされた。」とか、2、3日後に取りに来るように言われたということであります。小規模納税者は暇ではなく平日働いているので、窓口に行くその時間が惜しい。そこをまげてお願いしているのにかかわらず、その扱いが的を得ていなければ、苦情が出てくるのは当然のことであります。

 「住基ネットの利用・活用の促進」は、強力に取り組んでいただきたい分野であります。 なぜ、普及しないかは簡単で、「使い道がないから」に過ぎません。コストと時間をかけて取得して使い道がほとんどなく、重要なものであるゆえに紛失のリスクを抱える。このようなものを国民が好んで取得するとは思えません。便利で持っていると得する、あるいは持っていることがステイタスになるものであれば、競って取得するものです。

 パスポートの申請など何年かに1回あるかないかです。電子申告は制度があることを認識していない国民がいまだに多い。住民の転居は常にある方は多数ではなく、利用価値が低い。せめて電子マネーになるとか、地方自治体のポイントカード代わりにならない限り、その普及は促進しないのではないでしょうか。財布の中の数多くのICカードは、目的別にありますが、管理する者として、だんだんわけがわからなくなってきます。ICカードにはかなりの記憶容量が搭載されていますから、1枚で何もかも共有できる社会的なシステムになれば全ての国民が住基カードを取得することになるでしょう。平成17年8月で68万枚ほどです。


 「公的個人認証」については、さらに問題があります。平成17年11月末で10.4万枚。この数値で、電子申告件数が当初からの累計で20万件を超える数字(現段階では推測)であるのは、むしろ特定の人間が複数回申告していることが明らかになります。


 ともかく、ICカードの取得が電子申告のネックです。
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