講演 成功学研究室 トップページ


こんにちは。
情報基盤整備特別委員会の井上でございます。

私は、「何はともあれICカードの取得」というお話をさせていただきます。「皆さん全員が日税連が発行するICカ−ドを取っていただかないと、大変なことになりますよ。」というお話です。

先ほど、国税局の渡辺様より、電子申告のご講演を懇切丁寧にしていただきました。
このご説明に関して、「分かった!バッチリできる」という方。どれくらいいらっしゃいますか。
「なんだか良く分かんないぞ!」という方、いろいろいらっしゃると思います。むしろこの段階では、なんだか良くわかんないぞという方が多いかと思います。それは、当然です。いままで、紙で申告してたものが、いきなり電子という目に見えないものに、変わるのですから。

ただ、ここで確実に言えることは「電子申告が目の前に迫ってきた」ということです。来年の2月には名古屋国税局管内だけで電子申告ができるようになったという事実です。それだけは感じていただけたと思います。
そこで、この電子申告をする場合、ICカ−ドが必ず必要になります。これは、紙の申告時に署名押印するのとまったく同じで、ICカ−ドで署名押印するのだとご理解ください。

とはいっても、電子申告そのものは、先ほどのご講演を聴いていただいてお分かりのように、諸事情・諸環境の条件がありまして、すぐに利用率が上がっていくかどうかは微妙なものを感じております。
もちろん、電子申告の利用率を上げていくように全力で努力することが、私たちの任務だとは思っておりますが。しかし、電子申告については、納税者の署名押印、つまり、納税者のICカ−ド取得という問題があり、納税者が協力していただかない限り、なかなか利用率は上がらない。これが現実だと思います。

しかし、ICカ−ドの取得問題は違います。これは、税理士の署名押印に代わるものです。すなわち、税理士だけの問題なのです。
だから、少なくとも電子申告を実際にされる方はとらざるを得ないものであります。
しかし、私はここでそんな当たり前のお話をするために出てきたのではありません。

おそらく、この会場の先生方の中でも、いろんな意見の先生がいらっしゃると思います。「私は電子申告など知らん」「税務相談だけやるからいい」「調査立会いだけで食っていける」「パソコンが嫌いだ」「インタ−ネットは興味ない、怖い」「回りの様子を見てから徐々に」という方、いろいろいらっしゃると思います。
それでも、私はここで、すべての税理士先生に、100%ICカードを取得していただかないと「大変なことになりますよ」と言い切ります。

なぜか。
皆さんがICカードを取得されないと、税理士以外の他の人たちが電子の世界で税務申告を行うようになるかもしれない。そうなってしまうと、税理士の無償独占はなくなる。すなわち、税理士制度は崩壊します。そういうお話です。大げさではありません。

先ほどのご講演の中にもありましたように、現在は、電子申告のできる者は、「納税者と税理士及び税理士法人」だけとされています。わたしたち税理士は今まで、税務申告について無償独占ができていました。そして、今のところは電子の世界でも法律で守られています。しかし、国税庁のホ−ムペ−ジのQ&Aにもありますように、実はこれは「当面」の話なのです。ほんとうに「当面」と書いてあるのです。

もし、私たち税理士が電子申告に協力的でなかったら、どうなるんでしょうか。

新しい時代ということで、日本政府は、e−JAPAN構想で、2005年までにIT立国を目指しております。ITで世界に負けない国づくりを本気で目指し、法律の改正整備をしてきました。予算に関しては、今年度だけも、財務省は電子申告プロジェクトをモデル事業として145億円を投入しています。国は総力を上げて、電子政府を実現しようとしています。そこまでやっていて、それを実績なしで終わらせることができるのでしょうか。電子申告を導入しましたが低調でした、すみますでしょうか。

おそらく、近い将来、行政書士・社会保険労務士をはじめとする他の士業や一般業者に、電子の申告を認めてでも、電子申告の普及を図ろうとする可能性があります。実際、規制改革委員会ではすでに、「電子申告は税理士さんだけに頼らなくてもいいのではないか」という議論がなされています。アメリカだって、ドイツだって一般業者が電子申告をしています。電子申告をやりたくて仕方のない人たちが、世の中にはたくさんいます。そういう方々にも税務申告をすることを認められてしまったら・・・。皆さんの今の所得、維持できますか。顧問先は増えますか。所得が半分以下になると推定される方もいます。無償独占というのは、今までそれだけ税理士の生活を支えてきたのではないでしょうか。

まさに、税理士業界は今までにないピンチに立たされたといえます。
しかし、「ピンチはチャンス」とも言います。ものは考えようで、税理士全員がICカードを取得して、電子申告の受入体制を整えていただければ、電子の世界でも業務独占は守れます。これこそ、チャンスとなります。

日税連の森会長は、電子申告をまる受けすると言い切られまして、税理士会で認証局を構築することになりました。まもなく、許可が下りるものと思いますが、その税理士会の認証局が発行するICカ-ドを皆さんに取得していただきたいのです。この、ICカ−ドをどれだけ取得していただけるかが、今まで諸先輩方が50年間築きあげてきていただいた税理士制度を、今後も守っていけるかどうか、無償独占を維持できるか否かの分かれ目だと思っております。

先日、弁理士事務所の現場を見せていただきました。現在すでに、特許申請の原則は電子で、紙は例外だそうです。紙で申請すると手数料を余分に支払わなければならないそうです。いろいろと説明してくれたその事務所の若い職員さんは、紙での特許申請を経験していないので紙のことは分からないと言われました。ほぼ100%、電子で申請しているのです。弁理士さんの世界は進んでいますが、現実にそういう世界があるのです。原則が紙と電子と2つあるというのは、本来おかしくて、やがて、税理士の世界も電子が原則になるでしょう。本当に、電子の世界は想像以上の速さで実現します。5年前に、今の状態を予測できましたか。

だから、私たちは日税連のICカードを税理士全員が取得するべきだと思います。ICカ−ドを取得することが、私たちが、電子申告をやる気があるという姿勢を示すことだと思っています。こういう姿勢を明らかにしていかなければ、業務独占は守れないでしょう。すなわち、
ICカードの取得は税理士の職域防衛です。なんとしても、多くの先生方にご理解いただき、ICカードを取得していただきたいと思います。

全国の税理士、官公庁の人々その他多くの方々が、皆さんの行動を注目しています。日税連は6万7000名の税理士全会員にICカ−ドを取得していただくように準備しています。そうすることによって、電子申告に取り組む姿勢を国税庁等にアピ−ルしていくということです。私ども名古屋会の税理士としては、それに、ちゃんと答えたいですよね。ですから、ICカ−ドの取得をお願いする次第です。

具体的に、ICカ−ドの取得の方法、電子申告をするに当たっての手続きは、今後時間とともにさらに明確になっていくものと思います。私ども情報基盤整備特別委員会は、全支部を回らせていただき、支部研修会等でご説明させていただきます。ご質問等はその際におたずねください。おおむね、11月中旬から12月中旬に予定しています。その時までに、会員の皆様からの質疑事項を事前に、私どもの委員会までお教えいただければ幸いです。どのような形でもいいですから、情報基盤整備特別委員会のほうまで、会員の先生方の疑問・質問をお寄せいただきたく思います。よろしくお願いいたします。

なお、名古屋税理士会では電子申告対応PTをつくり、この問題に関して真剣に取り組んでおります。すでに、先月号の広報誌に少し派手な黄色の用紙でご案内申し上げました。表題だけ読みますと・・・・
ということであります。なにとぞよろしくお願いいたします。

「何はともあれ、ICカ−ドを取得しましょう!」

以上です。ありがとうございました。

「名古屋税理士会統一研修会」の講演より

主な講演履歴 成功学研究室・目次

ページ・トップ